今コロラドは一年で一番美しい季節を迎えていますね。ほんの少し雪をかぶった山々や若い緑が揺らぐ大地、州花のコロンバインをはじめとする色とりどりのワイルドフラワーがそこかしこに咲いていて、私たちの目を楽しませてくれます。こんな恵まれた環境に暮らす私たちは、その恩恵を求めて、山や森に足を運ぶことも少なくないと思います。
実は、日本語には森林浴(英語ではForest Bathing)という、まさにこの自然の恵みを全身に浴びるといった意味の言葉があります。この言葉は、自然美を見直し、森を造る意欲を高めようとの狙いから、温泉浴・海水浴・日光浴などになぞらえて、日本の林野庁が主導して日本国内で提唱した「森林浴構想」に起源があるそうです。また、森林浴の最適な方法としては、心身にストレスを感じない程度の運動量で、生活圏内や近場にある森林を歩くこととされています。そして最近では、この森林浴の科学的効能が様々な研究によって実証されているようです。例えば、森林から発散されている独特な森のにおい成分フィットチッドや滝などの近くの細か水しぶきに含まれるマイナスイオンを人が吸収すると、精神が落ち着きリラックスしてくるという研究結果が出されています。
電化製品やプラスチックに囲まれ、 排気ガスが飛び交う都心で暮らす私たちには、まさに森林浴は心身ともにリフレッシュさせてくれる森林セラピーといったところでしょうか。四季折々の森の表情を楽しみながら、樹木の香りを思いっ切り吸い込んで、森のパワーを全身で感じてみたいです。